(前回のお話はこちら)
息子が「なむなむ」言い始めて、気兼ねなく勤行をできるようになってきたわたし。
それから月日は流れ(他の回に書いてあるような行事も過ぎていき)いよいよ、
大学校も終盤になってきたのでした。
人間革命を読破する
大学校に入ったときにいくつか課題のようなものが出されました。
その中の一つに、「小説人間革命を読破する」というものがありました。
当初、「日蓮仏法を学びたいのであって、池田先生の思想を学びたいわけではない」と読むのを断っていたわたしですが、
山田さんが「人間革命を読むと創価学会の世界観がよくわかる」というので読んでみることにしたのでした。
その時の話はこちらに書いています。
この小説人間革命は全12巻の大判小説でして、1巻500ページくらいあります。
文庫本になっているのですが、容量が変わるわけでもなく、読んでも読んでも中々おわりません。
それでも、なんとか修了式までには読もうと思い、
最後の方はこなすのに精いっぱいという感じだったのですが、
大学校の修了の少し前に読了することができました。
現実の問題と向き合う宗教
わたしは普段小説をあまり読まないタイプなのですが、
小説人間革命は意外に楽しみながら読むことができました。
学会員の皆さんがあまりにも「人間革命や!」「宿命転換や!」というので、
この本は「偉大な池田先生の教え」について書いてあるのかと思っていました。
ところが、全く違いました。
これも以前も書いたのですが、
この本は池田大作さんについて書いてある本ではありません。
池田大作さんの師匠である、戸田城聖さんについて書いてある本です。
しかも、「戸田先生の教えは偉大だ!」という話がずらずら書いてあるのではなくて、
終戦直後の日本の様子から、そこから戦後復興していく人々とともに学会がどう歩んできたのかが歴史小説風に書かれています。
本の冒頭には「戦争ほど、残酷なものはない。戦争ほど、悲惨なものはない」という書き出しで始められます。
この一文からして、わたしはびっくりしたのでした。「法華経」とか「日蓮仏法」という言葉ではなく、
「戦争」という言葉が一番最初に取り上げられていることにも、
あくまで現実社会の問題を打破しようとする姿勢が始まりから示されているように感じました。
読み進めていくと色々と驚くのですが、特に以下のような点に感銘を受けました
- 宗教は観念論ではないということを明確に説いている。「身体よりも心が大事なのである」と述べる新興宗教に対して、明確に心も体も幸せにならないのであれば宗教に意味はない!と正面から喝破している。
- 創価学会に寄せられた批判や事件についても述べている。もちろん学会側からの視点であることは否めないが、事件をなかったものにせずに史実の中で向き合っている。
- 離婚や病気、経済苦などの現実問題について登場人物が度々述べており、現実から目を背けない。安易に「祈ったら夫婦関係もよくなるで!」みたいな話ではなく、「離婚するかしないかは貴方次第です。でも離婚したから人生が全て好転するのではない」というように現実的な話をする。(そのうえで、人生を根本的に転換させるには信心をしなさいという話になる)
などなど、読む前に持っていたイメージとはことなり、地に足がついたしっかりとした歴史小説のように感じました。
そして、以前大学校でディスカッションしたときにもらった答えに納得できなかった「信心していても死ぬ」という問題について
真正面から向かい合うシーンがありました。
男子部の幹部であった男性が、バイクの事故で亡くなるという出来事がありました。
この男性幹部の死について、
普通に考えれば、あまりにも悲しく、残念な出来事です。
しかし、戸田城聖さんはこみ上げる悲しみをこらえて、「仏法的な観点」からこの死の意味を見出そうとします。
普通であれば、このような幹部の理不尽な死をあえて話にだしたりしないし、出しても洞察などを加えるなどしないだろうに、
人間革命ではその詳細な描写と考え方が述べられていきます。
その考え方にわたしが100%賛成や納得できたわけではないのですが、
それでも真正面から理不尽な死についても仏法的な解釈に取り組み
「現実に起こる問題」と向き合っていることを感じました。
他にも、夕張炭鉱事件や大阪事件など、実際に創価学会におきた事件を取り上げながら、
現実の問題に対処していく逃げない姿勢や力強い庶民の力を感じるのでした。
創価学会とお母ちゃんの世界観がわかる
以前も書いたのですが、この本を読み始める前に山田さんが言っていた
「人間革命を読むと創価学会の世界観がよくわかる」というのは本当だと思いました。
それは「お母ちゃんの世界観」をよくわかるということでもありました。
めったに本を読まないお母ちゃんでしたが、人間革命だけは読んでいたようでした。
この本では、当時の人々の心の機微がわかりますし、戦後復興で盛り上がっていく日本の勢いや、
貧しい中にも明るさをもつ庶民の力強さを感じることができます。
うちのお母ちゃんはスーパーポジティブ人間なのですが、
お母ちゃんの人生はそのまま人間革命に書かれている、「庶民が信心を通じて立ち上がっていく」
様子を体現しているように思いました。
(詳しくは割愛しますが、お母ちゃんは幼い時に家族を亡くしたり、貧乏したりと結構苦労人なのです)
また、生きている証であるお母ちゃんがいるから、この小説人間革命の世界観がまんざら嘘ではなく、
少なくともお母ちゃんのような熱心な学会員はこの世界観で生きているし、それで幸せになってきたんだと思いました。
時代が異なるので、今読むと「これはやりすぎでしょ」とか「暑苦しいな」と思うところはあるものの、
「こういう世界観で生きてきた人たちはいるだろうな」と素直に納得できるくらいの力強さと綿密な内容でした。
思いをもった人、実際に行動した人にしか書けない内容
表現は難しいのですが、
人間革命は「強い思いをもって実際に行動した人に」しか書けない内容というように思いました。
例えば、世の中の一部の人が疑うような創価学会が詐欺集団とか、(著者の)池田大作さんが詐欺師だったとしたら、
恐らくここまでの内容は書けません。もっと薄っぺらくて、表面的な内容になると思います。
この本には、確かに歴史、社会、庶民と向き合って、地に足をつけながら歩んできた人間の息吹を感じます。
その活動の是非は人それぞれ思うところがあるかと思います。しかし、少なくともこれは実際に行動をして、考え抜いて、
生き抜いてきた人で無いと書けない内容だと感じました。
創価学会の教えの全てを鵜呑みにはしないですが、少なくとも強い思いをもって社会と向き合い、
「創価学会」という巨大な組織を作り上げることができたという事実は、まぎれもない本物なのだと思います。
この小説には「山本伸一」として池田大作さんが登場して、戸田城聖さんを支えます。
戸田城聖さんや、池田大作さんを「師匠」と呼ぶほどわたしは傾倒できていないのですが、
それでもこの人たちが日本にいてくれてよかったと思いましたし、
お母ちゃんをはじめとした多くの学会員が心の底から彼を尊敬している理由がわかりました。
「宗教家」というだけで、どこかカルト的な扱いを受けたり、
公平な評価をされていないところが日本にはあるように感じます。
思想や宗教的なバイアスなく、牧口常三郎さん、戸田城聖さん、池田大作さんが行ったことを評価するならば、
戦中戦後の焼け野原だった日本に、一大仏教団体を立ち上げ、何百万世帯にも拡大したこと。
それは十分に「偉業」と呼ぶにふさわしいと思います。
まだまだ自分にはついていけないところもあるけれど、
こういった先人たちの思いは大事にしなければいけないのかもしれないな。
人間革命の読破を通じて、そんな風に思うようになっていました。
そしていよいよ卒業式を迎えることになります。

